社会(人・まち)とのつながりが、心身の健康を守る

健やかに生きるために毎日の食事に向き合う

最近、好きだったことが続かなくなったり、人に会うのが億劫になったり、新しい場所に順応しにくいと感じたりしていませんか?このような心の変化は、<フレイル>の兆候かもしれません。

フレイルとは加齢により心身の機能が低下した状態で、要介護状態の一歩手前の段階だと考えられており、放っておくと要介護につながる可能性があります。しかし、普段から自分の健康状態に関心をもち、早い段階でフレイルに気が付くこと、適切な対処をすることで健常な状態に戻ることができる時期ともされています。

フレイル

フレイルを予防するための手段として、大きく3つのことが推奨されています。

栄養バランスのよい食事をとる・適度な運動をおおなう・趣味や社会活動の時間をもつ

年齢を重ねると少しずつ生活のペースや趣味が変わっていくのは自然なことです。しかし、それは新しいつながりを築くチャンスでもあります。これまでの経験や知識を活かしながら社会に参加することで、さらに豊かな日々が広がることでしょう。今回の<健幸みちしるべ>では、フレイル予防のうち「趣味や社会活動の時間をもつ」ことについて、社会参加のヒント・事例をご紹介していきます。

㊟フレイルについては、シニアライフ「健幸みちしるべ」のVol.2『知っておいてほしい、健康長寿のプチ科学』、Vol.10『健やかに生きるために毎日の食事に向き合う』で食事について、Vol.11『身体を動かす習慣が身につく環境づくり』で運動について取り上げています。こちらも参考にしてください。

目次

社会参加という名の「つながりづくり」

現役の頃は、仕事を通じて自然と人と接する機会がありました。しかし、現役を引退してからは外出や人との交流が減り、社会とのつながりが薄れてしまうこともあります。このような状態が続くと、心身の健康に影響を与え、「フレイル」の初期段階に入ってしまうことがあります。

フレイルは年齢を重ねることで心身が衰える状態ですが、特に最初のきっかけとして「社会とのつながりを失うこと」が大きな要因になります。これを「フレイルドミノ」と呼びます。社会との接点が減ることで外出の機会が減り、生活が不活発になります。その結果、食欲が低下し、栄養の偏りや筋力の低下といった症状が連鎖的に進行してしまうのです。しかし、早い段階で社会参加を続けることでこのドミノ倒しを防ぎ、健康な状態を保つことができます。

社会とのつながりを失うことがフレイルの最初の入口となる

社会とのつながりを失うことがフレイルの最初の入口となる

https://www.tyojyu.or.jp/net/byouki/frailty/koreisha-shakaisanka-kenkochoju.html

社会参加といっても難しいことではありません。近所で挨拶をしたり、商店街で買い物をしたり、友達とお茶をすることも立派な社会参加です。無理なくできる範囲から始めれば、それだけで社会とのつながりが広がります。まずは小さな一歩を踏み出して、心身の健康を支える社会とのつながりを大切にしていきましょう。

健康維持に欠かせない外出・交流・自己啓発

外に出ることや人と交流することは、心身の健康を保つために大切です。散歩や買い物、友人とのランチなど、日常のちょっとした外出がリフレッシュの大きなきっかけになります。さらに、何か新しいことに挑戦する「自己啓発」も生活に刺激を与え、充実感を得る方法のひとつです。

ボランティアや学びの場に参加するのは少しハードルが高いかもしれませんが、何も大げさに考える必要はありません。まずは興味のあることから少しずつ始めてみましょう。外出が習慣化すると自然と新しいつながりが生まれ、心の健康にも良い影響を与えます。これらの小さな行動の積み重ねがフレイル予防や健康維持に効果的です。

自分のペースで、今できることから始めてみませんか?

社会活動に参加して良かったと思うこと

社会活動に参加して良かったと思うこと

ホップ・ステップ・ジャンプで社会とつながる

これまで見てきたように、社会とのつながりは心と体の健康を保つために欠かせません。『健康長寿新ガイドラインエビデンスブック2017』(東京都健康長寿医療センター編)によれば、シニア世代が健康を維持するためには以下の3つが重要とされています。

  • ・ 1日1回(以上)の外出
  • ・ 週1回(以上)の交流
  • ・ 月1回(以上)の活動

ここでは、これを「ホップ・ステップ・ジャンプ」と考えてみましょう。外出や交流が少ない方は「ホップ」から始め、少しずつステップアップすることが大切です。一方、すでにホップやステップを続けている方はさらに上の「ジャンプ」に挑戦して、新たな活動を目指してみてください。

■1日1回の外出(ホップ)

毎日の散歩や買い物は身近な場所に出かけることで簡単に始められます。最初はいつものルートや慣れた場所でいいのです。慣れてきたら別の道や新しい場所にも挑戦して、少しずつ行動範囲を広げてみましょう。

■週1回の交流(ステップ)

週に1回、友達とお茶をしたり、地域の集まりに参加するだけでも交流の場が広がります。顔なじみができると日常生活の情報交換もでき、気軽に相談できる関係が築けます。人との交流は孤独感を和らげ、心身の健康を支える大切な時間です。

■月1回の活動(ジャンプ)

月に1回、少し大きな活動にも参加してみましょう。趣味のサークルやボランティア活動など、最初はハードルが高いかもしれませんが多世代が集まることも多く、いろいろな人との交流が生まれます。観光ガイドや読み聞かせのボランティアなども増えており、誰かと話し、誰かに聞いてもらうことで生きがいを感じることができます。

これらの活動は、最初は小さな一歩でも続けることで社会とのつながりが強まり、フレイル予防や健康維持につながります。ホップ・ステップ・ジャンプを意識して少しずつ前に進んでいきましょう。

生きがいを実感する、ときめきの時間と行動

グランドマストのご入居者さまには、自分の思いや願いに素直に、かつアクティブに日々を過ごしておられる方々がたくさんおられます。今回はシニアの社会参加の理想的な事例を2つご紹介します。

● 自分流の部屋づくりにワクワク、外出して友人との交流にウキウキ
〈A様(70代女性)の事例〉

長く住み慣れた自宅を離れ住み替えを決意されたA様。グランドマストの37.45㎡のワンルームにお住まいです。引越しにあたっては「気合の入った断捨離」を決行。家具や家電、洋服などは時間をかけて厳選し、ほんとうに必要なもの、そして心がワクワクと小躍りするようなお気に入りだけを連れてこられました。

お部屋づくり

引越し時に搬入した家具や家電を描いていたイメージ通りに配置。もちろん、これだけでは十分ではないので、何か必要なものを買うことになります。Aさんは使い慣れたモノや着慣れた洋服とのコーディネートを考えて、買うものを決めていかれました。お気に入りのインテリアショップにも足しげく通い相談されていたとのこと。

購入の決め手は「心がときめくかどうか」でした。そうして完成したA様のお部屋は、グランドマストの中にあっても唯一無二の素敵な空間に仕上がっています。

お部屋づくり

購入の決め手は「心がときめくかどうか」でした。そうして完成したA様のお部屋は、グランドマストの中にあっても唯一無二の素敵な空間に仕上がっています。

外出と交流

A様は時々ご友人を招いてティータイムと雑談を楽しんでおられます。お部屋でのおしゃべりを楽しんだ後は、お2人でオシャレをして電車でお出掛け。都心部で外食したり、繁華街でショッピングしたり、時には美術館に寄ることもあります。

お1人での散歩や生活品の買い物は日課。「お部屋は快適だけど、閉じこもりはNG」とおっしゃるA様。遠足や小旅行のために観光情報を手に入れたり、行き先の観光名所や土地の歴史を学んだり。「毎年毎年やりたいことが増えて困るわ」と言うA様の表情は笑顔であふれています。

● 華道を究めるために、自らを高めお弟子さんの自己啓発をサポート
〈B様(80代女性)の事例〉

長年華道に打ち込み、師範としてのキャリアも十分なB様。開かれた日本の伝統芸道にしたいと願い、B様は近年、定期的に展示会開催に取り組んでおられます。ご家族や旧知の人たちだけでなく、同じグランドマストの入居者さまも来場され、年々観賞者が増えているそうです。

華道を究めるために、自らを高めお弟子さんの自己啓発をサポート

仕事・活動(華道教室・展示会)

B様は展示会の来場者に気軽に声掛けをされ、質問に答えられたり作意などについて解説をされています。グランドマストでできたご友人も展示会に尋ねてこられますが、華道の経験がないと鑑賞も難しいもの。「誰もが最初はわからないので、華道との接点が生まれた時の手ほどきが大切」とB様はおっしゃいます。自己啓発を促すには場やタイミングが大切なようです。

縁づくり(師範と弟子)

自らも長く学び、その後は師範として研鑽を積み、今では定期的に華道教室も開催するなど熱心に指導されています。師範が弟子を育て、弟子の中から次世代の師範が生まれ、そして学ぶ人が集まる……このような関係の連鎖があってこそ伝統芸道は過去から現在、そして未来へと引き継がれていきます。

また外部の教室だけでなく、不定期でグランドマストの入居者さまにも手ほどきをされています。フロントに飾られている生け花はB様の作品で、定期的に生けてくださっています。

花が人のご縁を紡ぎ、学びやコミュニケーションを活性化しています。師範としての責任は重いですが、お弟子さんや学び手の華道を通じての社会参加は軽やかに見えます。

自然に人が集まり、人とつながる「グランドマスト」

グランドマストでは、入居者様が自然に交流し社会とつながる機会をご提供しています。食堂、ロビー、ラウンジなど、気軽に集まりやすいコミュニティスペースを設け、何気ない会話から趣味や共通の話題が見つかり、ご一緒に出かける計画が生まれることも。こうした日常の交流を通じて、社会との関わりが無理なく深まります。さらに、日中はリビングアテンダーが常駐しており、生活相談や日々のちょっとしたお話ができる安心の場も整えています。また、定期的に開催される健康体操や各種イベントは、入居者様同士の交流の場として多くの方に親しまれています。

グランドマストのホームページでは「暮らしの写真展」として、入居者様の趣味やサークル活動、四季の風景、地元のおすすめスポットなど、日々の生き生きとした様子を写真付きでご紹介。自然体で社会参加を楽しむ入居者様たちの暮らしを、ぜひご覧ください。

グランドマスト暮らしの写真展

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