LIFE STORY01
ひとりで伸びやかに暮らす
(ひとり暮らし)
自分の思いに忠実でありたい、部屋の間取りも装いも
何もかも人任せで頼りない人間だった以前の私。他人の顔色や心理を気にするばかりで、空気を読んでからでないと話したり行動したりできなかった。一人暮らしになってからのある日、一冊の本に出合った。その本によれば、私は「反応的な人間」なのだそう。反応的?どういうこと?と訝(いぶか)りながらも先を読み進め、読了。その本は「主体的に生きること」を私に教えてくれた。自分のことは自分で決め自分の思いに忠実になろうと誓った。
好奇心の声にも耳を傾けた。第二の人生の住まいとして敢えて土地勘のない居住地を選び、入居する部屋も誰にも相談せずに決めた。この歳になって初めて手に入れた‟マイルーム“。広さや基本の構造や間取りは変えられないけど、自分好みの自分仕様のわが部屋づくり。部屋を空間としてとらえてみると想像が掻き立てられる。理想は、本棚とカフェと音楽が一つのシーンになるような空間。さりげない主張があって、落ち着く部屋がいい。
理屈があまり好きでなかったし、理屈っぽい話をする人を敬遠してきた私が、あの本を読んでから、日々の暮らしに意味を求めるようになった。今は、主体的な生き方を貫くには自分の頭できちんとこねた理屈がいると確信している。部屋の様子を見に来た娘にこんな話をしたら、「お母さんが理屈とは……、信じられない」とつぶやいた。「でも、自分の足で立っていると思う」とも言ってくれた。きっと今の私を肯定してくれている。