最近、「家にいることが増えた」「疲れやすくなった」「階段を使わなくなった」といったように、ご自身の身体の変化を感じていませんか? これらは加齢による体力の衰え、つまり<フレイル>の兆候かもしれません。
フレイルとは加齢により心身の機能が低下した状態で、要介護状態の一歩手前の段階だと考えられており、放っておくと要介護につながる可能性があります。しかし、普段から自分の健康状態に関心をもち、早い段階でフレイルに気が付くこと、適切な対処をすることで健常な状態に戻ることができる時期ともされています。
フレイルを予防するための手段として、大きく3つのことが推奨されています。
今回の<健幸みちしるべ>では、フレイル予防のうち「適度な運動をおこなう」ことについて、健康長寿につながる身体活動や運動のヒント・事例をご紹介していきます。
㊟フレイルについては、シニアライフ「健幸」みちしるべのVol.2『知っておいてほしい、健康長寿のプチ科学』、Vol.10『健やかに生きるために毎日の食事に向き合う』で食事のたいせつさを取り上げています。こちらも参考にしてください。
目次
今の自分の体力に合った健康づくりが基本
フレイル予防のためには、適度な運動で体力を維持・強化することが重要です。日常生活の中で少し体を動かす機会を増やすだけでも、筋力や体力の維持に効果があります。特別な運動でなくても、自分のできる範囲で動くことが大切で、習慣化することで長期的な健康維持につながります。
厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」では、高齢者に対して、有酸素運動や筋力トレーニング、バランス運動、ストレッチなどを組み合わせた運動を週3日以上行うことが推奨されています。また、長時間の座りすぎにも注意が促されています。
対象者 | 身体活動:生活活動 + 運動 | 座位行動 |
---|---|---|
高齢者 | 生活活動:歩行またはそれと同等以上の身体活動を1日40分以上(1日約6,000歩以上) 推奨される運動:有酸素運動・筋力トレーニング・バランス運動・柔軟運動など多要素な運動を週3日以上 |
座りっぱなしの時間が長くなりすぎないように注意する。 (立位困難な人も、じっとしている時間が長くなりすぎないように少しでも身体を動かす) |
成人 | 生活活動:歩行またはそれと同等以上の身体活動を1日60分以上(1日約8,000歩以上) 推奨される運動:息が弾み汗をかく程度以上の運動を週60分以上・筋力トレーニングを週2~3日 |
出典:厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」推奨事項一覧(一部抜粋)
こういった指針があるからと、いきなり強度の高い運動を目指す必要はなく、まずは日常の中で少しずつ体を動かす習慣をつけましょう。例えば、買い物時に歩数を増やしたり、2階までなら階段を使うといった小さな工夫から始めることができます。こうした日常の行動が習慣化すれば、軽度の運動やスポーツにも取り組みやすくなります。まずは「0を1に」、少しずつ体を動かすことから始めましょう。
過去の運動実績に照らして、無理のない運動を
同じシニア世代といっても、若い頃から現在に至るまでの運動履歴や現在の体力によって、推奨できる運動・スポーツが変わってきます。一つ確かなことは体力の程度とは関係なく、長く続けるためには「好きな運動・スポーツ」をすることです。また、気の合う仲間がいたり個別指導をしてくれるインストラクターがいたりすれば、根気よく続けていくうえで励みになります。
下図では、推奨されている生活活動・運動の一部を強度比較してみました。
参考(一部アレンジ):地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター研究所
「運動・身体活動の“ちょい足し”のポイント:最近のガイドラインを踏まえて」図3「運動・身体活動強度のイメージ」
運動・スポーツ経験の少ない人は、頑張り過ぎずに楽しむことが大切です。たとえばウォーキングするにしても、歩くことよりも道すがらの風景を眺めことを意識することで無理なく続けることができます。ラジオ体操やストレッチもどんな方にもおすすめできる基礎体力づくりになります。
運動やスポーツが好きな方には、スイミングやテニス、ランニングがおすすめです。その日の体調に応じて強弱をつけるようにしましょう。また、スポーツジムに入会することでインストラクターの指導の下、正しく安全にトレーニングを受けることができます。
運動・スポーツを生活習慣として楽しむ
生活習慣として運動・スポーツを楽しまれている、グランドマストの入居者さまの事例を2つご紹介します。どちらの事例もキーワードは「無理せず楽しく続けること」です。
テニス――近いから、好きだから続けられる(A様・60代男性)
A様は週に1回、テニススクールに通われています。もともと身体を動かすことがお好きだったそうですが、グランドマストにご入居される前は郊外の住宅地にお住まいで、近くにスポーツ施設や教室がなく、自宅で過ごす時間が増えていたそうです。そこで、環境を変えようと決心し、生活利便性の高いグランドマストへご入居されました。徒歩圏内で必要な用事を済ませられる点が大きな決め手でしたが、その中でも特にテニススクールに惹かれたとのこと。
A様は「腕前は大したことない」と謙遜されますが、一時期は熱心に練習されていたそうです。スクールは徒歩15分ほどの距離にあり、週に1回欠かさず通っていらっしゃいます。「テニスは運動量が多く、身体に負荷がかかりますが、正しい指導があるので安心です」と語ってくださいました。
テニスのほかにも、日常的に買い物や散策を楽しんでおられ、住まいの近くにある有名な庭園は、花好きなA様のお気に入りの場所で、季節ごとの美しい花々を楽しむため年間パスポートを購
入し頻繁に訪れています。咲いている花や野鳥について、フロントのスタッフに楽しそうにお話されるA様の笑顔がとても印象的です。
ラジオ体操――みんなと一緒なら、毎日できる(B様・70代女性)
B様の元気を支える朝のラジオ体操。ラジオ体操は程よい全身運動で、日々の体力づくりに役立っており、毎朝体を動かすことでB様自身も健康の向上を実感しています。また、毎日のルーティンづくりにも活用されているそうで、目的をもって目覚めることが日々を楽しむ秘訣だそうです。
B様は、ラジオ体操を通じて入居者の皆さまとの縁づくりも大切にされています。新しい入居者さまがいらっしゃれば声掛けして、ラジオ体操に誘われます。最初は2、3人だったのが、最近では6、7人のグループになり、毎朝6時にフロント前に集合するのが日課です。
ラジオ体操後には食欲が増し、グランドマストの食堂で皆さんと朝食を楽しむ時間が広がっています。運動、食事、そして仲間との交流が、体力づくりやフレイル予防につながり、日々の健康を支えています。
人生100年時代をもっとアクティブに!ポジティブに!
~運動サポートプログラム「グランティブ」のご紹介~
グランドマストでは、入居者さまの健康と運動をサポートするため、健康業界のパイオニアであるセントラルスポーツと提携し、運動サポートプログラム「グランティブ」を提供しています。このプログラムは、よりアクティブで健康的な生活を送るために、入居者さま一人ひとりに合った運動方法を提案するものです。
まず、現在の健康状態をチェックし、専門的に分析した上で、個々の体力やニーズに合わせた最適な運動メニューをご提案します。無理なく続けられるようサポートしながら、長期的な健康維持と向上を目指します。
また、グランドマストでは、この運動サポートに加え、安全で快適な住環境や、栄養バランスを考えた食事サービスも提供しています。これら3つの柱を通じて、健康で幸せな暮らしをサポートし、人生100年時代にふさわしい豊かな生活を応援します。この機会に、無理のない健康的なライフスタイルを始めてみませんか?
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