普段マイペースなふたりが趣向を凝らすペアリングの妙

趣味を同じくしていても、動機や熱量まで同じとはかぎらない。わたしたち夫婦の、ふたりの時間とそれぞれの時間はたぶん半々。日常はそれぞれが気ままに予定を組んで、充実した時間を過ごしている。

以前は惰性で何となく過ごしていて、毎日が余生を消化するだけの休日のようだった。ところが、ここに居を構えてから一変。入居者同士の交流から趣味の輪が広がり、外部のサークルにも参加するように。交通の便がよく出かけやすいから、外出の機会も増えた。ある日は都心に出て美術館とデパートとレストランを巡り、ちょっと贅沢な時間を過ごす。ある日は家でゆったりと、植物の手入れなどを楽しむ。休日に濃淡ができて、日々がぐっと鮮やかになった気がする。

時々は特別な祝祭日も巡ってくる。仲間を招いて得意料理をふるまう、わが家主催の食事会も祝祭日のひとつ。その日は2ヵ月前からカレンダーに印を付けてある。食材選びとメニュー、照明とBGM、食器とテーブルクロスの調和も考える。最近のマイブームはワインと料理のペアリング。「自家製のタンシチューに合う赤は……」とつぶやいては試飲する夫を見て、夫婦のバランスもペアリングの妙だなと思う。